ホラー実体験室「脱出病棟Ω(オメガ)」

脱出の鍵はパートナーとの意思疎通!ホラー実体験室「脱出病棟Ω(オメガ)」を体験してきました!


ホラー実体験室「脱出病棟Ω(オメガ)」この日、7月14日に新宿歌舞伎町にオープンした新アミューズメント施設、「VR ZONE SHINJUKU」へと足を運んで参りました!

バンダイナムコエンターテインメントが手がけるこの施設はその名の通り、VR(Virtual Reality)に特化したアミューズメント施設であり、いわばVR専門の屋内テーマパークとも言える場所です。

館内にはバラエティ番組でもよく見かける高所体験は勿論、マリオカートやエヴァンゲリオンなどの人気作品のアクティビティなども充実しています。

 

ひときわ異彩を放つもの

ホラー実体験室「脱出病棟Ω(オメガ)」そんなバラエティ豊かなアクティビティの中にひときわ異彩を放つものが一つ、、、それがVRお化け屋敷、『ホラー実体験室 脱出病棟Ω(オメガ)』です。今回私はこの脱出病棟Ωを体験してきました。

さて、目的のブースに到着し受付でチケットを提示するとスタッフのお兄さんから衝撃の一言が…なんとこのアクティビティ、ゲーム内容の都合上2人以上でないと体験できないというのです!ひょっとして今日はこれを体験できないまま帰る羽目になるのでは…と一瞬不安になりましたが、どうやら1人のお客さんには現地のスタッフの方が一緒に体験してくれるとのことなので、一安心(笑)

その後、笑顔が眩しいスタッフのお兄さんと一緒に指定された筐体の前へ。これからしばらくは、このお兄さんが私のパートナーです。

スタッフから操作方法と注意事項の説明を受けた後、ゲーム内での名前の入力と、使用するアバターを選択します。名前はカタカナで三文字、アバターは男性と女性の二種類から選べます。準備が完了したらいよいよ筐体の中へ。座席に座ってスタッフにVRセットを装着してもらったら、さあいよいよ恐怖の病棟へと潜入です。

ではここからは、具体的に『脱出病棟Ω』の内容へと踏み込んでいきます。ネタバレは避けねばなりませんが、注目すべきポイントをいくつかピックアップして、このVRお化け屋敷の魅力をご紹介していこうと思います。

 

●内容と操作方法

まず内容は、自分の乗る車椅子を操作して病院内を進んでいき、各所で現れる選択肢を選びながら、制限時間内にパートナーとゴール地点を目指すというものです。基本的に操作は座席の左にあるレバーで前後に移動、右手に持った懐中電灯で辺りを照らしたり選択肢を選ぶだけなので、ゲームが苦手な人でも簡単に操作することができます。
ただし制限時間がゼロになってしまったり、パートナーのどちらかが死亡してしまうと、ゲームオーバーとなってしまいます。

 

●重要なのはパートナーとの連携

パートナーとはスタート地点で別れてしまうため基本的に1人で病院内を進んでいくことになりますが、VRセットにマイクが付いており、パートナーとは体験中リアルタイムで会話することが可能です。

途中、パートナーと連携して突破しなくてはならない仕掛けも何箇所か登場します。お互いの視界はVR映像によって塞がれており、パートナーとのコミュニケーション手段は声のみです。恐怖と制限時間のプレッシャーの中でいかにしてパートナーと視界情報を共有し、時に冷静な判断が下せるかがこのVRお化け屋敷では重要であり、そして一番の醍醐味でもあります。

しかしパートナーとリアルタイムで共有できる情報は良い物ばかりではありません。パートナーの悲鳴も、同時に聞こえてくることになります。その時パートナーの身に一体何が起こったのか、体験者自身は実際に見ることはできません。「何かが起こっているけど、それが何なのかは分からない」という正体不明の恐怖と、もしかしたらそれが次の瞬間には自分にも襲いかかってくるかもしれないという恐怖が同時に体験できるのも、VRお化け屋敷ならではのものです。

 

●静の恐怖と見せる恐怖

お化け屋敷に限らず、ホラーにはジャパニーズホラーに見られるようなじわじわと忍び寄る恐怖や、海外のスプラッターホラーにあるような残酷描写による恐怖など種類がありますが、この『脱出病棟Ω』はその二つの恐怖を同時に味わうことができるお化け屋敷でもあります。

基本的にこのお化け屋敷は、じわじわ忍び寄る「静の恐怖」がメインとなります。何かが出てきそう、だけど出てこない。そんなお化けが登場するまでの緊張感を楽しむという日本のホラーの典型的スタイルです。この「静の恐怖」は、言い換えれば見えない恐怖に追い込まれていくプレッシャーでもあります。
このプレッシャーに拍車をかけているのが、先にも書いた制限時間です。『脱出病棟Ω』はお化け屋敷であると同時に、「制限時間内に病院を脱出する」という課題をクリアするゲームでもあります。だから怖くても前に進んでいかねばならないし、場合によっては急いでパートナーを救出しなくてはなりません。コースの各所には残り時間を示すタイマーも設置されています。刻一刻と迫る制限時間に追い込まれていく恐怖こそ、ゲームとしての特性を利用した『脱出病棟Ω』ならではの「静の恐怖」です。

そしてもう一つ、『脱出病棟Ω』に存在する恐怖が、残酷描写という「見せる恐怖」です。実は『脱出病棟Ω』は13歳未満は体験不可という年齢制限があり、そのため本編にはそこそこ過激な殺人シーンが登場します。

実はお化け屋敷における殺人シーンというのは、少しハードルが高いものです。一般的なウォークスルー型のお化け屋敷では、グロテスクな死体の人形を設置することはできても、実際にその場で人が殺されるシーンを作るとなると、どうしても演出の限界が存在します。むしろ中途半端な殺人シーンで恐怖感を削いでしまうことにもなりかねません。しかしVRお化け屋敷は全編が映像で構成されています。よって現実空間では再現の難しい過激な殺人シーンであろうと、演出の限界が存在しない映像という表現方法で作り出すことができるのです。

知っての通り、映像だからこそできる残酷描写はこれまでもホラー映画等で存在していましたが、あくまで画面の向こう側の出来事、現実とは切り離されたものでした。しかしVRはその名の通り仮想現実、非現実でありながら限りなく現実に近い映像技術です。目の前で繰り広げられる残酷なシーンがよりリアルに、より近くに感じられます。残酷描写に限った話ではありませんが、現実にはありえないことを現実のものと錯覚できるのが、VR最大の魅力です。
『脱出病棟Ω』の「見せる恐怖」は、そのVRの魅力や特性を最大限活かした演出と言えるでしょう。

 

●VRお化け屋敷の魅力

最後に、この『脱出病棟Ω』全体を通して感じた、VRお化け屋敷の魅力をまとめたいと思います。
私は『脱出病棟Ω』の最大の魅力は、最初に書いた「パートナーとの協力」だと思います。最近はVRの普及によってVRを使用したホラーコンテンツも徐々に増えてきています。しかしそれらのほとんどは、VRの特性である「自分1人だけの、一人称視点」を活かし、「孤独の恐怖」を演出していました。確かにホラーにおける孤独は最大の恐怖であり、VRの特性を最大限活かした怖いお化け屋敷です。しかし『脱出病棟Ω』はそんな従来のVRお化け屋敷に新たな切り込みをいれました。それが、「孤独というシチュエーションを活かしたパートナーとの連携プレイ」です。『脱出病棟Ω』は基本的に1人で病院内を探索します。そこは従来のVRお化け屋敷と変わりません。いつどこから何が飛び出てくるか分からない不気味な空間を、制限時間が迫る中1人で進んでいく。そんな孤独の恐怖を味わえます。

しかしそこにパートナーとの連携という要素が加わると、VRお化け屋敷は新たな領域へと進化を遂げます。パートナーと連携して突破しなくてはならないシーンではお互いの視界情報を共有しなくてはなりません。VR映像で視界が塞がれてる以上、情報伝達手段は声のみです。お化け屋敷という恐怖空間、刻一刻と迫るタイムリミットというプレッシャーの中でそれを正確に伝えるのは思いの外難しいことかもしれません。これはまさに「自分1人だけの一人称視点」というVRの特性を活かしたゲーム要素です。

そして、このパートナーとの連携はゲームとしての面白さを高めると同時に、新たな恐怖を生むことにもなります。通常お化け屋敷やホラー映画は既に決められた演出、ショーを見る、いわば一方通行の恐怖です。よって観客はただ受け身の姿勢でいるだけでいいのです。もしオチが「殺人鬼に殺される」というものなら、自動的にそれに従うことになります。

しかし『脱出病棟Ω』では仮に敵に捕まってしまったとしても、その後の行動次第ではパートナーに助けてもらうことができます。つまり生きるか死ぬかは自分次第であり、オチは最後まで分からないのです。このお化け屋敷はお化けが脅かしてきたら恐怖が終わる訳ではありません。お化けが登場してからパートナーが助けに来るまで継続的に恐怖が続くのです。しかもその間自身はパートナーを自分の元に導かねばなりません。「早く助けに来て!」という焦りも生まれるでしょう。

生存の可能性が生まれるというのは必ずしも安心感だけを得られるわけではありません。生きるか死ぬか最後まで分からず、それを決めるのは自分次第というのは、まさにホラー映画の主人公になったかのような体験ができるのです。

 

最後に。

ここ数年でVRコンテンツはエンターテイメント業界の至る所に浸透しましたが、まだまだ発展の余地がある分野です。今後も新しい形、今までに見たことないのうなスタイルのアクティビティが次々と世に出て来るでしょう。この『脱出病棟Ω』も、そんな新スタイルのVRコンテンツの一つです。
『脱出病棟Ω』はお化け屋敷のみならず、VRコンテンツの新たな可能性も垣間見た、そんなお化け屋敷でした。