絶叫フライデー

【週刊 絶叫フライデー #06】映画原作のお化け屋敷の魅せ方。USJ『ハロウィーン・ホラー・ナイト』を徹底分析!


こんにちは!最近9000円のジェイソンのフィギュアを買ってご満悦なこんさんです。
絶叫フライデーも二周目となり再び舞い戻ってきました(笑)

さて、先日はUSJ『ハロウィーン・ホラー・ナイト』の体験レポートを書かせてもらいましたが…正直USJファンの私としてはまだまだ書き足りない!

【 絶叫レポート記事( 執筆:こんさん )】
日本のハロウィンブームの火付け役!USJ『ハロウィーン・ホラー・ナイト』を体験!

 
ということで今回は、「原作ありきのお化け屋敷の魅せ方」と題して、前回とはまた違った角度からホラーナイトを追求していきたいと思います。

 
近年は映画以外のコンテンツに力を入れてるUSJですが、前回の記事でも述べた通りホラーナイトはUSJのシーズナルイベントの中でもまだ映画色の強いイベントです。

今年は『エルム街の悪夢』『エクソシスト』『チャイルドプレイ』『リング』『学校の怪談』のアトラクションが開催されています。

また過去には『ハムナプトラ』『13日の金曜日』『エイリアンVSプレデター』『呪怨』がホラーナイトに参戦しています。映画以外でも『バイオハザード』のアトラクションが開催されました。まさにホラーファンにはたまらないイベントです。

そんなホラー映画を原作としたこれらのアトラクション。体験する映画ファンはどのようなものを期待するのでしょうか。

お化け屋敷である以上アトラクション的な面白さを期待するのは勿論ですが、恐らくそれ以上に期待するのは、「原作映画の再現度」や「原作要素をいかにしてアトラクションに活かすか」ではないでしょうか。

お化け屋敷としての面白さを差し置いてでも映画要素を多く取り入れてほしいという人も少なくないかもしれません。なぜなら「映画を原作としている」というのが、そのお化け屋敷最大の売りであり、魅力だからです。

世の中にお化け屋敷はたくさんあり、ホラーナイトで開催されるお化け屋敷もあくまでその中の一つにすぎません。

しかしなぜそこで観客はホラーナイトのお化け屋敷を選んで体験するのでしょうか。

勿論USJというネームブランドから面白さを期待するというのもありますが、それ以上に「あの映画のお化け屋敷だから」というのが大きいのではないでしょうか。お化け屋敷自体は数あれど、ジェイソンやフレディ、チャッキーやリーガンに出会えるお化け屋敷はここにしかありません。それがホラーナイトならではの持ち味です。

だからこそ映画の再現度というのは非常に重要だと言えます。それがキャラクターの魅力を最大限引き出すことができる、観客の一番見たいものなのですから。

 
ではここで、これまでホラーナイトで開催されたお化け屋敷を振り返ってみます。一部具体的な内容にも触れてしまいますのでご了承ください。

 

原作映画の再現度が非常に高い『ジェイソンのブラッドダイナー』

まず原作映画の再現度が非常に高いものとして2012年~2014年に開催された『ジェイソンのブラッドダイナー』があります。ジェイソンといえば映画『13日の金曜日』でバラエティ豊かな殺人シーンを披露します。アトラクションもそれに乗っ取り、殺人シーンのバリエーションが多いです。映画に登場したシーンの再現の仕方も凝っており、

例えば映画で「何かいそうなシャワールームのカーテンを開けると何もいなかったが、実はすでに背後にジェイソンが立っていた」というシーンがありましたが、アトラクションではこのシーンを「シャワールームのカーテンが開くと何もいないが壁が鏡になっており、自分の姿が映し出される。すると自分の後ろの照明が点灯して自分の背後にジェイソンが立っていることが判明する」という面白い手法で再現されていました。

またジェイソンファンには有名な話で「ジェイソンは実はチェーンソーを一度も使ったことは無いが、芝刈り機を使ったことはある」というものがありますが、このアトラクションではなんとジェイソンがその芝刈り機を持って登場するシーンがあります。映画を知らない人からしたら数ある凶器の一つに過ぎないかもしれませんが、ファンからすると思わず笑ってしまいたくなるような小ネタを仕込んでいるのも映画再現度の高さを表す要因の一つです。

 

小ネタが随所に仕込まれている『エクソシスト~悪魔祓いの館~』

ジェイソン同様に映画再現度が高いのが去年今年と開催された『エクソシスト~悪魔祓いの館~』です。

エクソシストといえば映画を観たことのない人でも知っているような名シーンの数々です。階段をブリッジ状態で下ったり首が180度回転したりするリーガンの姿は映画を知らなくとも一度は見たことがあるであろうシーンです。そんな名シーンの数々が見事に再現されているのがこのお化け屋敷で、「目の前で見てみたかったあのシーン!」を見せてくれる映画ファン必見のアトラクションでもあります。

またこちらもジェイソン同様にファンにはたまらない小ネタが随所に仕込まれており、エクソシストには「映画の本編に悪魔の顔をサブリミナル映像で仕込む」という手法が使われていますが、なんとこのアトラクションではそのサブリミナル映像の悪魔が登場するシーンが多々あります。下手をすれば映画を観ていても気付かないような要素までアトラクション盛り込むというのには、USJのエクソシスト愛が感じられました(笑)

 

映画の再現度はあまり高くないものも…

しかし中にはお化け屋敷としてのレベルは非常に高いものの、映画の再現度はあまり高くないものもあります。

例えば今年で開催三年目を迎えた『エルム街の悪夢 THE MAZE』は、セットも凝っており映像や鏡を多用したトリッキーな脅かし方も多く、お化け屋敷としてのクオリティは高いです。

しかしメインのフレディというキャラクターを活かしきれてないようにも思えました。『エルム街の悪夢』といえば夢の中に現れる殺人鬼・フレディのバラエティ豊かな殺人シーンが特徴です。夢の中というシチュエーションも相まって、現実ではありえないような殺人シーンも多く、中にはギャグ映画とも見れるようなものもありました。

それらをアトラクションで実際に目の前で見ることができたら面白かったのですが、このアトラクションに登場するフレディはスタンダードなお化け屋敷同様に「脅かして引っ込んでいく」といういたってシンプルなものでした。「これは優れたお化け屋敷ではあるがエルム街の悪夢ではない」というのが、体験した後の私の率直な印象でした。

2014年~2016年にかけて開催された『チャッキーのホラーファクトリー』も同様です。

このアトラクションは小学生以下は体験不可という年齢制限も設けられており、人間の解体シーンなどグロテスクなシーンが非常に多いです。ハリウッド映画さながらの造形・特殊メイク技術でそれらのレベルはかなり高く、セットのリアルさも相まって思わず圧倒されるクオリティのお化け屋敷でした。

しかしこのアトラクションで致命的なのが、肝心のチャッキーの登場シーンが少ないことです。舞台となるのはチャッキーが支配するおもちゃ工場ですが、そこで観客を脅かしてくるのはほとんどが「チャッキーの手下」という映画には登場しないオリジナルキャラクターです。多くの観客はチャッキーに会うためにこのアトラクションを体験しに来てるのだから、もっとチャッキーを出したほうがよかったのではというのが率直な感想です。

 

映画要素をうまくアトラクションに活かしているもの

ホラーナイトの中には映画そのものを再現してるわけではないが、映画要素をうまくアトラクションに活かしているものもあります。

それは『貞子」や『呪怨』などの『呪われたアトラクション』です。

これは『ジュラシックパーク・ザ・ライド』や『ターミネーター2:3D』などのUSJの常設アトラクションが『リング』や『呪怨』に登場する貞子や伽椰子の手によって呪われ、ホラー仕様になるというものです。これらの『呪われたアトラクション』は映画の内容を忠実に再現しているわけではありませんが、映画に登場する「呪い」という要素を非常に上手く活用しています。映画でも彼女らの呪いによって何気ない日常が徐々に破壊されていく恐怖が描かれていますが、これらのアトラクションも常設アトラクションというUSJファンにとっての「日常」が呪いによって徐々に「非日常」へと変貌していくという映画と同じようなシチュエーションを味わえます。

最初は普段通りに進行するアトラクションが進むにつれて徐々に音声や映像が乱れ、自分の知らないアトラクションへと変貌していくのが非常に怖いです。映画の世界を忠実に再現したジェイソンなどよりも、実在のアトラクション内に貞子や伽椰子が登場するこれらのアトラクションのほうが、ある意味で「実際に現実に現れた」感が増してリアルかもしれません。

 

お化け屋敷である以上にショーである

私はこれらホラーナイトで開催されるお化け屋敷は、お化け屋敷である以上にショーであると考えています。映画で活躍していた怪人やお馴染みの名シーンがスクリーンから飛び出して目の前で繰り広げられる、ある種の舞台劇のようなものです。違うのは観客が舞台の外の客席ではなく同じ舞台の上で劇を見ている、あるいは自分自身も登場人物の一人に加わるというところでしょうか。

原作要素という付加価値をつけることによって、お化け屋敷はまた上の領域に進化します。ただスリルを味わうだけでない、一つの劇、ショーとして観ることができる。原作となる映画が存在し、その要素を活かしたお化け屋敷にはそんな魅力があるのです。

 
ちなみに余談ですが、海外のホラーナイトでは日本での一般知名度はあまり高くないホラー映画のアトラクションも開催されています。

過去に開催されたものとしては『サイレントヒル』『テキサスチェーンソー』『ハロウィン』『死霊のはらわた』『シャイニング』『インシディアス』『ソウ』など… また常設で『ウォーキング・デッド』のアトラクションもあります。

こちらもホラーファンにはたまらないラインナップなので、いつか体験してみたいものです(笑)

 
( 執筆:こんさん